コラム/ columns

鼠径ヘルニア漿液腫とは?

2023/06/09

鼠径ヘルニア手術後数日から発生する合併症である漿液腫。

一見、再発と見まがうけれども、
実は再発ではない「漿液腫」という合併症を詳しく説明します。

まず、この漿液腫。合併症というからには怖い!と思うかもしれませんが、
ごく一部の例外を除き自然治癒しますのでご安心ください。

その例外についても通院治療によって治癒します。

漿液腫の特徴について紹介します

① 鼠径ヘルニアが存在していたスペースに存在していた腹部内臓が体液(漿液)に置き換わる現象。
② 未治療で放置してきた期間が長いもの、元々が大きいヘルニアに生じやすい
③ 鼠径ヘルニアの再発と見分けがつかないことがある
④ 多くは仰向けとなっても引っ込むものではない
⑤ 漿液腫の経過や大きさも多様で、治癒に要する期間も数週から半年・1年と幅広い
⑥ 積極的に治療する場合は、注射針で刺し、中の液体を吸い取る治療を行う
⑦ 感染などのリスクを鑑み、できるだけ、何もしないで自然治癒を待つことが好ましい 
 (万が一、感染がメッシュに及んでしまうともっと大変なことになるため)
⑧ 手術中の対策によって発生率を下げることは困難(※)
⑨ 多くの場合、元のヘルニアの大きさ以上にはならない
⑩ 通常痛みは伴わないことが多いが、緊満することで鈍痛を感じても不思議ではない

以上により、漿液腫の発生は起こるべくして起こるもので多くの場合予防は困難です。
合併症と表現していますが、手術による治癒の一経過とみることもできます。
いずれにしても、漿液腫が発生しにくいうちに手術を受けることが勧められ、
すでに発生しやすくなってしまった状況であれば、
なおのこと、治療を早くご決意いただくのがよいと思います。

すでに病状が進行し、漿液腫がひどくなりそうな患者様でも
東京外科クリニックは責任をもって治療に臨みますので、ご安心ください。

 

(※)一部の報告で対処法を紹介するものがありますが、
そもそも、治癒に時間がかかってしまうような大きな漿液腫は防ぎようがないため、
一律に「発生率を下げることは困難」と表現しています。

 

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■文責
医療法人社団博施会理事長 大橋 直樹
(日本外科学会認定外科専門医)

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