コラム/ columns
手術とワクチン接種の間隔について
2025/11/05
インフルエンザ・新型コロナウイルスワクチンを受けられる方へ
東京外科クリニックでは、全身麻酔を伴う手術とワクチン接種の間に前後2週間の間隔を設けることを原則としています。これは、手術や麻酔が身体にとって大きな負担であり、ワクチンもまた一時的に免疫反応を活性化させるため、この二つが重なることで体調の変化を正確に判断しにくくなるためです。
なぜ2週間あけるのか
ワクチン接種のあとには、軽い発熱・倦怠感・筋肉痛などの全身症状が出ることがあります。
これらの反応は自然な免疫応答ですが、手術後に起きる発熱や炎症反応と見分けがつきにくく、感染や合併症との区別を難しくしてしまいます。
また、ワクチンによる免疫刺激の直後に手術を行うと、体内での炎症反応が強くなったり、逆にストレスによる免疫抑制でワクチンの効果が十分に得られない可能性も指摘されています。
こうした点を踏まえ、手術とワクチンの間に一定の時間を置くことが、医学的にも安全で合理的と考えられています。
適用されるワクチンの種類
• インフルエンザワクチン(不活化ワクチン)
→ 原則として、接種後2週間以上経過してから手術を行います。
• 新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチンなど)
→ 副反応がやや強めに出る傾向があるため、同様に2週間の間隔を推奨しています。
どちらのワクチンも、手術の後に接種を希望される場合も同様に、術後2週間程度経過し、体調が安定してからを目安としています。
緊急手術や特別な事情がある場合
もちろん、すべてのケースでこの間隔を厳密に守る必要はありません。
たとえば、緊急性の高い手術や、社会的・医学的な事情によってスケジュール調整が難しい場合には、患者さんの状態を個別に評価し、最も安全なタイミングを判断します。
「2週間ルール」はあくまで原則であり、患者さん一人ひとりの状況に応じて柔軟に対応いたします。
最後に
ワクチンも手術も、どちらも健康を守るための大切な医療行為です。
その効果を最大限に発揮し、安全に受けていただくために、十分な間隔を保ち、体調を整えて臨むことが何より重要です。
接種や手術の時期についてご不安な点がある場合は、遠慮なく医師にご相談ください。
■文責
医療法人社団博施会理事長 大橋 直樹
(日本外科学会認定外科専門医)
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