コラム/ columns

鼠径ヘルニアの3分類

2020/02/04

鼠径部のヘルニアは

①内鼠径ヘルニア
②外鼠径ヘルニア
③大腿ヘルニア

の3つに分類することができると、インターネットから得られる情報でも、お気づきになったと思います。

これらは各々

①直接型鼠径ヘルニア
②関節型鼠径ヘルニア
③大腿ヘルニア

と言い換えることもできます。

以下の図もご参照ください。
鼠径ヘルニアの3分類

 

 

どのタイプの鼠径ヘルニアなのか心配する必要はありません

手術をお受けになる前にご自身がどの分類に該当するのかを気にされることがあるとは思いますが、結論から申しますと患者さまご自身がどのタイプなのかを心配される必要はありません。
東京外科クリニックの手術では手術中にどのタイプの鼠径ヘルニアなのかを正確に診断することが腹腔鏡により可能です。

例えば、ある患者さまが外鼠径ヘルニアになっている場合もメッシュで治療するのは外鼠径の部分のみならず、内鼠径ヘルニア・大腿ヘルニアの発生する可能性のある場所までメッシュでカバーする範囲を広げます。
したがって、将来的に他のタイプのヘルニアになったとしても、症状として現れることがありません。

 

当院の手術は1回で治療が終わる可能性が高い

東京外科クリニックの手術では、現在のヘルニアと将来にヘルニアが起きやすい場所まで全て治療の範囲とするので、一回で治療が終わる確率が高くなります。
他のクリニックや病院によっては現在のヘルニアしか治せないという方針の施設もありますので、そういったところは注意が必要です。
どうしても手術を受ける前にご自身のタイプを知りたいという場合はCTの検査を受けていただくと良いと思います。

CTの検査では直接型・関節型・大腿型の3種類の分類のヘルニアを手術前に判定することができます。
ただし、時折診断が不正確なこともありますし、どのみち手術を早めにお受けになろうという気持ちが固まっているのならば、CTの検査は必ずしも受ける必要はありません。

先ほどの3つのヘルニアのタイプによって、緊急事態(いわゆる嵌頓)におちいる可能性はそれぞれで異なります。
例えば、高齢女性の大腿ヘルニアは嵌頓が生じやすいので早期の治療が必要です。
男性の場合は大腿ヘルニアは珍しく、直接型と比べて間接型のほうが嵌頓症例が多いとされています。

 

どのタイプの鼠径ヘルニアも自然治癒はしません

いずれのタイプの鼠径ヘルニアも放置していても自然に治癒することはありません。
すでに手術をご決断されている患者さまについては、我々が診察室で確定診断をくだせる状況であれば、手術前にCTの検査を受ける必要はありません。

実際に、東京外科クリニックで手術を申し込まれる大多数の患者さまはCTの検査を受ける必要はなく、手術前の健康状態のチェック、心電図や呼吸器の採血の検査だけで済んでいる方が大半です。
医師からCT検査が指示される場合は再発の方、ヘルニアがかなり大きくて戻すのが困難な方、女性で鼠径ヘルニア以外の疾患も併存している可能性がある方などにCTをお願いすることがあります。

 

診察において我々が大切にしていること

放置していても「自然に治癒するわけではない」ということが各分類に共通して言えることは間違いありません。
ヘルニアは早期治療のご提案が標準的な対応ではありますが、多忙などを理由に急ぎの治療を受けられない患者さまにもどれくらい待てるかなどお話ししています。
おひとりで悩まず、ご自身の状況を客観的にみて考えていただけるようにご助言できると幸いです。

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■文責
医療法人社団博施会理事長 大橋 直樹
(日本外科学会認定外科専門医)

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