コラム/ columns

なぜ日帰りの虫垂切除のニーズが増えているのか

2020/11/16

実は欧米のガイドラインだと虫垂切除は発症したらただちに行うべしとあります。
つまり緊急手術ですね。

しかし、わが国では、最近は保存的治療いわゆる「薬でちらす」ことがごく一般的に行われています。
たしかに何十年も前は緊急手術でやっていたんですよ。
なぜ、緊急でやることが少なくなったのか。

それは、緊急手術にはデメリットがたくさんあるからです。
薬剤だけで急場をしのぐことができるならそのほうがよいと考える医療者が多いのです。

東京外科クリニックも、この流れを間違ったこととは考えていません。
欧米に倣えば、確かに違うかもしれませんが、緊急手術が良いことばかりなはずもありません。

緊急手術だと、患者さまも医療者も十分な準備ができません。
思わぬ併存疾患が見逃され、虫垂炎の治療以外のトラブルがあるかもしれません。
それに、緊急手術は人員の招集、予定業務の圧迫など医療機関側の負担も大きいのです。
予定手術で組めればお互いそのほうがいいと考えるのも道理です。

しかし、ここに問題があります。
患者さんが失う時間がなにしろ多い!

現在、虫垂炎で入院する場合の我が国の平均在院日数は約5日。
手術をうけようがうけまいがあまり変わりません。

つまり、とりあえず薬でちらして一旦退院して、そのあと再入院で手術で根治をしてもらうにしても、また同じだけの日数拘束されてしまうのです。
虫垂炎とひとことで言っても病態が個人で異なるので、症例ごとに対応していく必要があります。

しかし、ほとんどの虫垂切除は、再び入院させるのではなく日帰りで行うことができます。
待機的手術は予定日を決めて、きちんと準備をしてから行う安全性の高い手法です。

腹腔鏡と日帰りという東京外科得意の組み合わせにより、患者さまの希望をかなえられるとよいと思っています。

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■文責
医療法人社団博施会理事長 大橋 直樹
(日本外科学会認定外科専門医)

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