コラム/ columns

鼠径ヘルニア治療用材料「プログリップメッシュ」について

2023/03/13

■プログリップメッシュの在庫状況
・現時点、在庫は充分あります。
※もし在庫がない場合はタイムリーにアナウンスしますので、それがない限りは「プログリップメッシュ」はございますので、ご安心ください。

成人鼠径ヘルニアの治療の多くには、メッシュという人工繊維布が不可欠です。
当院は再発や合併症の撲滅にこだわり、治療効果が高いと信じられるメッシュのみを使ってきましたが、9月中旬より輸入元からの供給不足が伝えられました。
そのため、手術枠の制限を余儀なくされる可能性があります。手術をご検討されている方は早めの受診と当サイトでの現状確認をお勧めいたします。
当院の指定しているメッシュはプログリップという「ずれ・めくれ」に強いとされるものです。
メッシュは様々なメーカーから供給されていますが、プログリップでなければ再発率が高くなったり、合併症が増えてしまったりするリスクが高くなると私たちは考えています。
他社のメッシュも医療材料として国の認証を受けているものですので、他の医療機関が他社のメッシュを使って手術を続けていくことは違法ではありません。
しかし、私たちは、プログリップなくして、最良の成績は保てないと思っていますので、今回の決断に至りました。
たとえ収入が減ってしまい、困窮するとしても、手術だけは妥協することは私たちにはできません。

 

制限期間の対応について

プログリップメッシュ供給安定の目処はたっていません(2022/11/10現在)
当院は品薄に備え、卸からの引き当てを優先してもらうよう対処してきましたが、いよいよ在庫が底をついてきており、僅かな入荷に頼っている状況です。
プログリップメッシュでない他のメッシュでも、あるいは、メッシュを使わない術式でも、遜色ないと考えられる症例についてはこれまで通り手術を行います。
しかし、成人の大部分にはプログリップメッシュが最良と考えられ、代用の他社メッシュでは、同じクオリティーは出せないと判断しました。
現時点、確保されているプログリップはすでにご予約されている患者さまに割り当てます。
当院の手術をご検討されている方は早めに受診ください。
初回の診察の制限は行いません。
院長が全て診察をする対応も変わりません。
早めに受診いただけますと幸いです。
ご来院いただいた順は公平に守り、プログリップの確保に応じて手術日の相談をしてまいります。

本件に関するお問い合わせ、現在の手術受付状況に関するお問い合わせはLINEもしくはお問い合わせフォーム、電話でお願いいたします。

 

参考

 

メッシュがずれたりめくれたりすることで起きる再発を防ぐ工夫

メッシュがずれたりめくれたりしないようにするには、以下のような方法があります。

  • 専用の留金を使用する
  • 糸で縫って固定する
  • 一度貼りついたら剥がれないメッシュを使用する

 

これらいずれかの方法をとり、術後のメッシュのずれや捲れを防ぎます。
ヘルニアの状態により上記の方法を使い分けますが、当院では特に「一度貼りついたら剥がれないメッシュを使用する」の効果の高いメッシュである「プログリップ」を使用することがほとんどです。
このプログリップの良いところは従来のメッシュと同じ材質でありながら、一度貼りついたら剥がれにくい特性です。

プログリップメッシュ

 

「専用の留金を使用する」「糸で縫って固定する」方法だと部分的な固定しかできません。
血管や神経といった損傷してはならない場所に留金を打ちこむことはできません。
しかし、だからといって打ちこまなかった部分から再発してこないわけではないのです。
現に「背外側再発」はこの弱点が原因となった再発です。

いっぽう、プログリップであれば、打ちこんではいけない場所も関係なく、全体的に均一に貼りつくので背外側再発をも防いでくれるものとして期待します。
現に、このプログリップが存在していなかった頃は、我々の技術をもってしても、再発してしまう現象がありました。
しかし、プログリップ導入以降は当院の患者さんで背外側再発は経験していません。
ただ、手術中の扱いに熟練が必要なため、一般の病院ではなかなか採用できないのが現状です。

接着面に細かいグリップが多数(1シート約4000個)施されています。
これらが生体組織に均一に貼りつくことで固定効果が発現します。マジックテープを想像していただければご理解いただきやすいと思います。

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